がん予防情報☆

さまざまながん予防を紹介☆

免疫力6

人間の身体は約60兆個の細胞でできているといわれています。そのうちの約2兆個、重さにするとだいたい1キロ前後が健康をつかさどる免疫細胞です。約2兆個もある免疫細胞ですが、身体全体にバランスよく分布しているわけではありません。

私たちの健康を日々維持している免疫細胞全体の70パーセントもの数が、腸に存在しているのです。人間の身体を覆う皮膚の面積は、成人男性でも約1.5平方メートルなのに対し、腸管粘膜の面積は約400平方メートルもあり、テニスコートよりも広いのです。

その大きな面積を有する腸の粘膜は、外来物である食物を消化吸収することで常に膨大な量の抗原と接触しています。腸管は体内にありながら、外界と直接触れあっているということになります。

腸内にいる免疫細胞は、食物として摂取されたさまざまな栄養素とともに、最も多くの細菌やウイルス、化学物質などの異物にさらされています。そのような環境で、彼らは人体に必要な栄養と害になる病原菌などを正確に見分け、栄養を取りこみ、害があると判断したものを正確に排除していかなければなりません。

食べ物に対する過剰反応が起きて下痢や腸炎が起きないように、免疫を抑える役割も果たしています。だからこそ、全体の約7割にもおよぶ免疫細胞が腸内に集まっているというわけです。腸は消化器官であると同時に、最も大きな免疫器官でもあるのです。

細菌やウイルスなどの抗原の多くは、タンパク質や脂質など、食品とほとんど同じ成分でできています。それをきちんと識別することができるのですから、免疫細胞の能力はすごいものです。こうした判断能力を腸内にいる免疫細胞が備えているのは、外来物である食べ物からたくさんの刺激を受けることで、より元気に、より有能になっていくことができるからです。

特に子どものうちにできるだけたくさんの外来物に接して、腸内の免疫細胞の認識能力を磨くことができれば、それだけ大人になってからの免疫力も高まります。50種類の食物しか摂取しない人より、その10倍となる500種類もの食物を摂る人のほうが、当然ながらより多くの刺激を腸内の免疫細胞に与えることができるので、免疫力を高めることができるわけです。

「好き嫌いなど偏食をしてはいけない」
「1日30品目を食べるのが理想」

という食の常識も、「細胞レベル」で健康を考えると、納得できます。「腸内環境が大事」といわれるのも、腸が最大の免疫器官であり、私たちの健康を大きく左右する器官だからです。免疫力を上げるには、全免疫細胞の7割を占める腸内の免疫細胞をバランスよく活性化させることが大切なのです。